説明
「体配 style」
鎬造り庵棟、身幅細く重厚く、内反りふくら枯れる。茎は生で化粧鑢がかかる、茎尻は栗尻。
「地鉄 jigane」
地鉄は板目に杢目が交じり、地沸が付く。
「刃紋 hamon」
小沸出来の中直刃、刃緑沸が働き、砂流し栄んにかかる、刃中は金筋が栄んに働く。釯子は直ぐに入り小丸に返る。
「特徴 detailed」
綱俊は和泉守國秀の三男で、山形藩工で濤瀾刃の名手であった加藤綱英の弟。寛政十年(1798)生まれ。本国出羽、米沢藩上杉家の抱工という。性は加藤、通称八郎、諱は是俊。水心子正秀に学び、長運斎と号す。江戸に移住しさらに大阪に上がり、鈴木治國に師事したのち、西国を遊歴、熊本に駐槌。安政三年(1856)には長運斎を息子の是俊、二代綱俊に譲り、銘を長寿斎と改める。文政六年(1823)頃より江戸麻布の上杉家中家敷に住み、文久三年(1863)十二月六十六歳で没した。甥に七代石堂是一、弟子に固山宗次、高橋長信、青竜軒盛俊など優れた門人がおり、幕末の江戸で一大流派を築いた。
本作、初代綱俊の短刀で、身幅の割に重が厚く鎧通しの造り込みです。
付属する短刀拵は、素銅地金着波濤図の一作金具で、直政の銘が入っている、素晴らしい拵です。
「拵 Koshirae」
ハバキ(habaki):素銅地銀着一重の縦鑢。
鍔 (tsuba):素銅地金着波濤の図(銘は直政 花押)。
縁頭 (fuchikashira):素銅地金着波濤の図(銘は直政)。
栗形 (kurikata):素銅地金着波濤の図。
鐺 (kojiri):素銅地金着波濤の図。
目貫 (menuki):素銅地金鍍金梅の図。
柄 (tsuuka):正絹焦茶色黒柄入糸の片手巻き。
鞘 (saya):黒呂。
小柄 (kozuka):小柄袋は素銅地金着無地、裏は五月雨鑢がかかる。小柄の穂は無銘。
「刀剣の状態 condition of blade」
研:良好です。
傷:欠点に成るような傷は有りません。