説明
「体配」
平造庵棟、身幅とも尋常、反り僅か。茎は生で筋違い鑢がかかり、茎尻は栗尻。
「彫り物」
棒樋が茎上部まに掻き流しとなる。
「地鉄」
地鉄は板目肌に地沸付く。
「刃紋」
刃文は互の目乱で尖り刃を交え、刃縁は砂流しかかる。帽子は乱れ込み小丸に返る。
「特徴」
濃州関住兼道、美濃三阿弥派兼阿の子で、室町時代天文(1532~1555)ころの刀工。
美濃三阿弥派は兼則を祖とする、関七流の一派で後に孫六兼元を輩出する。
室町時代天文年間は、正に動乱の時代で、関東では北条氏が勢力伸ばし、甲斐の武田信玄が信濃に進攻、東海地方では今川義元が勢力を伸ばし尾張の織田氏を圧迫して行きます。
都では三好長慶が専横を極め、中国地方では毛利元就が厳島の戦いで末晴賢を破り、中国地方の覇者としての一歩を歩みだす時代です。
また天文年間は、戦国時代末に活躍する、名立たる武将が誕生した時代でもあります。
本短刀は、この時代の主要な甲冑である胴丸の前差として作られた物で、長さは定寸 ふくらが枯れています。
刀身に疲れは見えますが、鍛割れ等を無く研ぎ直せば綺麗になるでしょう。肥後小さ刀拵の状態も良く、居合の前差に最適です。
「拵、その他」
ハバキ:素銅地銀着せ一重の麻の葉模様。
鍔 ;赤銅鍔
縁頭 ;縁は赤銅磨き地梅の図、頭は鉄地梟の図。
目貫 :赤銅地唐獅子の図
柄 :巻鮫、正絹納戸色の諸捻り巻。
鞘 :焦茶石目。
「刀剣の状態」
研:古研です。
傷: 欠点に成るような傷は有りません。