説明
「体配 style」
鎬造り庵棟、身幅重尋常、鳥居反り中鋒。茎は生で鑢目は筋違い、茎尻は栗尻。
「地鉄 jigane」
小板目肌が詰み、地沸付く。
「刃紋 hamon」
互の目、匂口明るく足入り、刃中は金筋が入る。釯子は乱れ込み小丸に返る。
「特徴 detailed」
播磨國住源利行、銘は「東播住黒川太市利行謹而造」とも切る、利行は文政11年9月2日、三木町新町の生まれ、本名を黒川太市郎と云い、播州三木に住した刀工です。利行の父である九兵衛は、鉋鑿等を鍛えていましたが、刀匠としての誉れもあり、利行には刀匠として家名を起こさんとさせ、また利行も刀匠として名を上げんとおおいに努め、やがて明石藩の御用鍛冶を勤めるまでになりました。また明石藩藩主松平慶憲に可愛がられて毎月登城し、毎年一回、藩の家老が利行の鍛刀場を巡視。慶憲自身もしばしば鍛刀場を訪れていたと言います。
明治維新による廃藩置県により、藩主の東京移住に同行し、東京でも刀を鍛えましたが、廃刀令により、刀鍛冶を諦めて鉋鍛冶として余生を送り、その刃味で名声を上げ、明治39年11月1日に東京で逝去しました。
本作、文久三年の作品です、風雲急を告げる幕末に特注で作られた物でしょう。
「拵 Koshirae」
ハバキ(habaki) :素銅地金着せ一重の庄内。
鍔(tsuba) :鉄地菊の図。
縁頭(futikasira):赤銅魚子地波千鳥の図。
目貫(menuki) :赤銅地金色絵獅子の図。
栗形(kurikata):素銅地波に蟹の図。
鐺(kojiri):銀地波の図。
柄(tsuka) :鮫は親粒が付く、柄巻きは正絹黒色の諸捻り巻き
鞘(saya) :茶色堆朱。
「刀剣の状態 condition of blade」
研:鋒に少し錆が有りますが、その他は良好です。
傷:欠点に成るような傷は有りません。