説明
「体配」
体配は鎬造り庵棟、身幅やや細く重尋常、鳥居反り、中鋒が延び心となる。茎は生で切鑢がかかり、茎尻は入山形。
「地鉄」
地鉄は、小板目肌良く詰んで地沸が付き、綺麗な肥前刀独特の小糠肌となり地景が働く。
「刃紋」
波紋は沸出来直刃で匂口深く中直刃を品よく焼き、刃中小足、葉が柔かく働き、帽子は直ぐに入り尖りごころに返る
「特徴」
肥前国忠吉(六代)は元文元年に生まれる。五代目忠吉の次男で長男が早世したため、橋本新左衛門家の嫡子となった。また父である五代忠吉が存命中は、忠廣を名乗っていたが、父没後は忠吉に改め、正式に橋本新左衛門を継承する。時代は寛政頃(約220年前)を中心として活躍し、寛政2年6月に近江守を受領する。六代忠吉は、父の代作に従事していた期間が長かったため、自身銘は少ない。文化12年12月28日に80才で鬼籍に入る。
本作、秀麗な刀姿をした忠吉で、鎌倉期の太刀を写したものだと思われます。茎が長いためバランスが良く、重量も抜身で895gと軽いです。拵もしっかりしており、鑑賞用のみならず、居合にも最適な一振りです。
「拵」
ハバキ:素銅地金着一重の総祐乗。
鍔 :鉄地葵透かし(越前記内)。
縁頭 :四分一磨き地。
目貫 :赤銅地武具の図。
柄 :鮫は親粒が付き巻鮫、柄巻は金茶色蛇腹糸の片手巻き。
コジリ:銀地コジリ金具。
鞘 :黒呂鞘、鯉口付近に少し青貝を散らす。白鞘、つなぎが付属。
「刀身の状態」
研:古研ぎです。
傷:欠点になるような傷は無いです。