説明
<体配 style>
鎬造り庵棟、身幅重尋常く、鳥居反りで中峰。茎は生で化粧鑢がかかり、茎尻は栗尻。
<彫り物 carving>
片チリの棒樋がハバキ下元に丸留。
<地鉄 jigane>
板目よく錬れてつみ、地沸厚くつき、地景繁く入る。
<刃紋 hamon>
互の目丁乱れ、刃緑沸よくつき砂流しかかり、刃中は金筋が入る。帽子は乱れ込み小丸に返る。
<特徴 detailed>
龍神太郎源貞茂刀匠は、本名は安達茂文、昭和33年に温泉で有名な日高郡龍神村(現在の田辺市龍神村)に生まれ。父は龍神太郎貞行刀匠で、叔父は安達貞文刀匠、従兄弟は貞和刀匠。
貞茂刀匠は、15歳より父の貞行刀匠に弟子入りし、22歳の時に人間国宝:月山貞一刀匠に師事し、約3年間にわたり師匠の鍛錬場にほかの弟子たちとともに住み込みで修業する。この時1年間合部屋だったのが河野貞光刀匠。貞光刀匠が福岡に帰るまでの1年間作刀の指導も受ける。
また彼の彫物については、月山門下随一の技量を誇る。生前の河野貞光刀匠に伺った話では、安達君の彫は入門時から教える事が無いくらい上手だったと。
本作は、今から二十数年前に、私の居合の兄弟子が直接、貞茂刀匠に注文した刀です。偶然知り合いの同業者から手に入れましたが、正直無茶苦茶驚きました。その当時は可なり高額の代金を支払ったのを覚えています、しかし出来は、良く詰んだ地鉄に、月山一門得意の相州伝を焼いた素晴らしい刀身です。樋は貞茂刀匠の手彫りで樋の底は滑らかです。鎺は従弟の貞和刀匠の作で出来が良いです。
拵も特注品だけ有って品質が良く、柄は蛇腹糸で巻かれています。居合での使用頻度は少なく刀身、拵共コンディションは良いです。この機会に月山一門の重鎮の刀を手に入れて下さい。
<拵 koshirae>
ハバキ(habaki) :銀無垢一重の腰祐乗。
鍔(tsuba) :鉄地鶴雁金透かし。
縁頭(fhchikashira):勝虫の図。
目貫(menuki) :勝虫の図。
柄(tsuka) :鮫革は親粒が付く。柄巻は正絹蛇腹糸のの諸撮み巻。
鞘(saya) :乾漆黒石目。
<刀剣の状態 condition of blade>
研:少しヒケが有りますが、概ね良好です。That polishing is new.
傷: 欠点に成るような傷は有りません。There is no crack.