説明
「体配 style」
冠落とし造り庵棟、身幅重尋常、無反りふくら程良く枯れる。茎は生で鑢目は切、茎尻は刃上がりの栗尻。
「地鉄 jigane」
地鉄は板目肌に杢目が交じり、地沸付く。
「刃紋 hamon」
刃紋は互の目で尖り刃を交える、刃緑は砂流しかかり、刃中は金筋が入る。釯子は直ぐに入り小丸に返る。
「特徴 detailed」
奥州会津住重國、本名は皆川今右衛門、後銘宗寿、師は下坂兼宣。
本作は女性用の懐剣として作られた短刀です。この短刀が作られた慶応4年は、4月に白河口の戦いから戊辰戦争が始まり、10月には新政府軍が会津若松城下に突入し城下町が炎上します、この時、城下の武家屋敷では篭城戦の足手纏いに成るまいと多くの婦女子が自刃しました。特に西郷頼母邸では母や妻子など一族21人が自刃した悲劇は今でも語り継がれている。自刃した婦女子は233人、会津若松市の善龍寺の碑には全員の名前が刻まれています。
本短刀は、戊辰戦争が始まる直前の、慶応四年二月に作られた女性用の懐剣で、おそらく会津戦争にて自刃した会津
藩士の婦女子が持っていた物でしょう、それを会津戦後、薩摩藩士が弔いのため国に持ち帰り高価な薩摩拵に入れて、
自分の差料としていたと思われます。
「拵 Koshirae」
ハバキ(habaki) :素銅地銀着一重の腰祐乗。
鍔(Tsuba) :銀無垢小刀鍔。
縁頭(FuchiKashira) :赤銅石目地に冥加紋が入る。
鐺(Kojiri) :銀無垢。
目貫(Menuki) :なし
小柄(Kotsuka) :赤銅磨き地。
柄(Tsuka) :柄には錦が貼られ、柄巻きは正絹黒の諸撮み巻き。
鞘(Saya) :青貝散し鞘、銀製の返り角が付く。
「刀剣の状態 condition of blade」
研:研ぎ上げたばかりです。
傷:欠点に成るような傷は有りません。