説明
「体配 style」
平造り庵棟、身幅細く重薄く、内反りが付きふくら枯れる。茎は区は送られていないですが、茎尻が少し切られて一文字になっており、鑢目は筋違い。
「地鉄 jigane」
地鉄は柾目肌で少し肌立、棟寄りに映りが有ります。
「刃紋 hamon」
小沸出来の中直刃、刃緑栄んに砂流しがかかる。
「特徴 detailed」
包清は手掻派の刀工です。手掻派は東大寺に隷属した刀工集団で、東大寺転害門の門前に住していたことから、手掻(てがい)と呼称されるようになりました。鎌倉中期正応(1288)頃の包永を祖とすると伝え、正宗十哲の兼氏も手掻派に属したといわれている。包清の初代は、包永の子で鎌倉末期に活躍しており、その名跡は代々江戸時代まで続きます。
また、現在でも転害門の門前に町名として包永町が残っています。
本作は天文11年(1542)の年季が入った短刀です。姿は室町中期の懐剣の姿を踏襲しており、ふくらが枯れ、人工的に内反りがついた平造り、元重を厚く先重を薄くして刺突に適した造り込みに成っています。この時代は戦国動乱の真っただ中で護身用として懐に忍ばせていたのでしょう。
拵は幕末の合口拵で、中身とは一転して可愛い拵です。鞘塗りは春慶塗り、割笄が付き、目貫は赤銅の蝉の図です。
大和物の在銘が少なく、年季が入っているものは稀有なので、非常に貴重な短刀です。
「拵 Koshirae」
ハバキ(habaki) :素銅地金着一重の大坂ハバキ。
目貫(menuki) :赤銅地蝉の図。
笄(kogai):素銅地漆仕上げの割笄、樹木の図柄が入る。
柄(tsuka) :出し鮫。
鞘(saya) :春慶塗り。
「刀剣の状態 condition of blade」
研:良好です。
傷:欠点に成るような傷はありません。