説明
「体配 style」
平造り庵棟、身幅太く重尋常、無反りふくら程良く枯れる。茎は生で化粧鑢がかかり、茎尻は刃上がりの栗尻。
「地鉄 jigane」
地鉄は板目肌が流れ地沸付く。
「刃紋 hamon」
刃紋は湾れ互の目、匂口明るく、沸が付き砂流しかかり、刃中は金筋が入る。釯子は乱れ込み小丸に返る。
「特徴 detailed」
加州住國光、本名は洲崎幸次、陀羅尼派の刀工で五代國平の息子、大正二年十二月四日没。銘は他に加州住陀羅尼國光作之とも切る。
本作は慶応二年の作です。慶応二年は幕末動乱の時期で、1月21日薩長同盟締結、1月23日寺田屋事件、6月7日第二次長州征伐、12月5日徳川慶喜が15代将軍就任、12月25日には孝明天皇崩御されました。翌慶応三年には徳川幕府が大政奉還は上奏し、王政復古の大号令が発せられます。このような時代の大変換期に作られた寸延短刀のため身幅が太く豪壮な姿をしています。付属する白鞘は当時のままで良い色に焼けています。拵も幕末当時の物で、純銀の一作金具で作られた大振りな合口拵で、コンディションは良いです。さらに鎺も加州鎺が付いており、幕末の加賀藩の息吹を感じられる一振りです。鑑定書は付いていませんが、銘も良く保存刀剣に是非出してみて下さい。
「拵 koshirae」
ハバキ(habaki) :素銅地銀着一重の加州鎺。
頭(kashira):銀無垢。
目釘穴飾り金具(Mekugi hole decoration):銀無垢。
栗形(kurikata):銀無垢。
一文字(ichimonji):銀無垢。
鐺(kojiri):銀無垢。
馬針(Bbashin) :銀無垢(鞘の袋に入っている部分は光っています)。
鞘(saya) :黒呂、白鞘、つなぎ。
「刀身の状態 condition of blade」
研:古研のため、曇っていますが薄錆が少しある程度です。拭い直しで綺麗に成ります。
傷:差表の鎺から10cmくらいの棟寄りに細く短い柾割れが有りますが、修復可能です。その他欠点に成るような傷は有りません。