説明
<体配>
鎬造り庵棟、身幅尋常重やや厚く、反り浅く中鋒。茎は生で化粧鑢がかかる、茎尻は入山形尻。
<地鉄>
板目肌を主体に小板目が混じり、良く練れて精良な地金となり地沸付く。
<刃紋>
互の目乱れ刃で、刃緑粒の揃った沸が付き砂流しかかり、刃中は葉、金筋が入る。ぼうしは乱れ込み小丸に返る
<ハバキ>
素銅地金着二重。
<特徴>
備中守橘康廣は紀州を代表する刀工です。初代は近江國から徳川頼宣公の紀州入部に付き従い、重國と同じく紀州藩のお抱え藩工と成る。初代康廣は当初、紀伊國康廣、紀伊國富一康廣等と 銘を切り、晩年に大坂へ移住後し備中守を受領した後に銘を備中守橘康廣と切るように成る。本作は銘から見ると二代康廣(初代備中守)の作と思われます。
備中守と言えば石堂丁子が定番ですが、本作は刀身だけ見ると、文珠重國(二代金助)と間違うような相州伝の刃を焼いています。紀州藩工時代には重國と協力関係が有ったと伝わっています が、正にそれを証明するかの出来です。刀身の研ぎ減りも殆ど無く400年近く前の作品とは信じられないコンディションを保っています。
本脇差は2017年11月審査にて特別保存に認定されたため、鑑定書は未到着です。日本美術刀剣保存協会のホームページでは、6月中旬頃から発送が始まる予定のようです。
<拵え>
白鞘が付属。
<刀剣の状態>
研ぎ: 良好です。
傷: 傷は有りません。