説明
「体配 style」
鎬造り庵棟、身幅重尋常、鳥居反り中鋒。茎は生で切鑢がかかり、茎尻は栗尻。
「地鉄 jigane」
地鉄は板目肌に杢目が交じり、地沸付く。
「刃紋 hamon」
刃文は互の目、刃緑細かな沸が付き砂流しかかり、匂口は明るい。刃中は金筋が入る。帽子は乱れ込み小丸に返る。
「特徴 detailed」
水府住祐光、本名は横山喜十郎、本国備前、文政三年江戸生まれ。銘は於水府横山祐光作、水府住祐光作、水戸住藤横山祐光作等と切る。嘉永三年に徳勝の推薦により水戸藩士となる。
この刀が作られた安政3年(1856)年は、ペリーが江戸湾に来てから2年後で、尊王攘夷が盛んな時期です。水戸藩では隠居の徳川斉昭公が復権し、幕政参与(軍制改革参与)として江戸幕府の政治にも関わっていた時期で、2年後の安政5年には安政の大獄が有り、その後桜田門外の変で井伊大老が水戸藩浪士に暗殺されます。そのような時代にこの刀が水戸で作られました。正しく幕末の動乱の時期に生まれ、その時代を生き抜いてきた刀です。
研ぎは古研ぎのため、少しヒケが有りますが、鍛え割れ等の傷は無く。拵は状態は良く、鍔は室町後期から江渡時代初期の良い物です。
ぜひコレクションに加え、幕末の息吹を感じて下さい。
★現在、特別貴重刀剣の鑑定書のみ付属していますが、2023年9月審査で特別保存刀剣に合格しています。
なお、特別保存刀剣鑑定書は、2月中旬に日本美術刀剣保存協会から発送予定です。
「拵 Koshirae」
鎺(habaki) :銀無垢一重庄内鎺。
鍔(tsuba) :鉄地木瓜形花菱紋透かし鍔。
縁頭(futikasira):鉄地達磨の図象嵌。
目貫(menuki) :金地馬の図。
柄(tsuka) :柄巻きは正絹変り糸の諸撮み巻き。
鞘(saya) :黒呂に茶梨地。
「刀剣の状態 condition of blade」
研:古研ぎのため、少しヒケが有りますが、概ね良好です。
傷:欠点に成るような傷は有りません。