説明
「体配 style」
鎬造り庵棟、身幅重共尋常、中間反りで小鋒。茎は生で鑢目は切、茎尻は入山形。
「地鉄 jigane」
小板目肌よく詰んだ鍛えに地沸微塵に厚くつき、米糠肌状となり、細かな地景入る。
「刃紋 hamon」
刃文は中直刃を基調に浅く湾れ、足よく入り、匂深く小沸よく付く。釯子は直ぐに入り小丸に返る。
「特徴 detailed」
近江大掾忠廣は、橋本平作郎といい、初代忠吉の子として生まれ、寛永九年(1632年)の父没後に忠廣を襲名しています。これは、父初代忠吉が元和十年(1624年)に 武蔵大掾を受領し忠廣へと銘を改め、忠吉銘は門人である後の土佐守に譲った為です。寛永十八年(1641年)に近江大掾を受領、元禄六年(1693年)に八十歳で没する までの五十年以上の長きに渡って作刀を続けています。その為、寛永、寛文、元禄期とそれぞれの時代に応じた体配をした数多くの作品を残していますが、新刀の刀工中、初代 忠吉に次ぎ、2番目に多く重要刀剣に指定されており、如何に名刀が多いかが分かります。
本作は、正保から慶安頃の作品で、忠廣30歳代の作品です。近江大掾を受領してから10年くらい経過し、自分の作品に自信を持った覇気と技量を備えた刀です。
拵は後述しますが、素晴らしい拵でコンディションも抜群、この忠廣の良く合った拵です。
「拵 Koshirae」
ハバキ(habaki) :素銅地金着一重の腰祐乗。
鍔(tsuba) :鉄地肥後海鼠透かし藤の図。
縁頭(fhchikashira):頭は水牛の角、縁は赤銅魚子地弓に扇の図。
目貫(menuki) :赤銅地束ね熨斗の図。
小柄(kotsuka):赤銅地束ね熨斗の図。
笄(kogai) :赤銅地束ね熨斗の図。
柄(tsuka) :鮫は親粒が付き巻鮫。柄巻きは正絹黒の諸摘み巻き。
鞘(saya) :色々貝散し鞘。
「刀剣の状態 condition of blade」
研:良好です。
傷:欠点に成るような傷は有りません。