説明
「体配 style」
鎬造り庵棟、身幅重共尋常、反りやや浅く中鋒。茎は磨り上げられ、鑢目は切り茎尻は一文字に切られる。
「地鉄 jigane」
板目肌が流れ肌立ち、地沸付き、棒映り立つ。
「刃紋 hamon」
直刃調に小互の目・小乱れ交じり、小足入り、小沸付き所々砂流しがかかる。釯子はのたれ調に入り小丸に返る。
「特徴 detailed」
越中国宇多一派は、鎌倉末期の文保(一三一七~一八年)頃に大和国宇陀郡より越中国宇津に来住した古入道国光を祖
とし、南北朝期には古入道の子とされる国房、国宗、門下の国久、国次、友次らが活躍、以後同銘が継承され、室町時
代には北陸道最大流派として栄えました。南北朝期を下らない作を古宇多、それ以降を宇多と総称しています。
国房は銘鑑等では初代を康安(一三六一~六二年)、二代を応永(一三九四~一四二八年)頃とし、以降室町末期に掛
けて同銘後代の名が挙がっていますが、本作はその極めより、流祖古入道国光の子と伝わる初代国房の貴重な現存作で
す。同派中最も卓越した技術を示す刀工と言えば、迷わず国房の名が挙がる程、国房の技量の高さは、識者の間でも古
くから認められていることであり、同派の作で重要美術品に認定されている4口全てが国房の作であることも、それを
如実に物語っています。
「拵 koshirae」
ハバキ(habaki) :素銅地銀着一重の腰祐乗。
鍔(tsuba) :鉄地甲冑師鍔、桜影透かし。
縁頭(fhchikashira) :鉄地桜金象嵌。縁頭、コジリ、鯉口、栗形は一作金具。
コジリ(kojiri) :鉄地桜金象嵌。
鯉口(koikuchi) :鉄地桜金象嵌。
栗形(kurikata) :鉄地桜金象嵌。
目貫(menuki) :龍の図
柄(tsuka) :鮫は親粒が付き、柄巻は正絹卯の花色の諸摘み巻。
鞘(saya) :黒堆朱の貝粉が散りばめられる。
「刀身の状態 condition of blade」
研:概ね良好です。
傷:欠点に成るような傷は有りませんが、肌立っています。